<朝―――ブライトリバー警察署の受付>
「すまないね、マイク。大学から呼び戻しちまって」
「いいさ、オヤジに任せるわけにもいかないだろ。
大学の試験は昨日終わったし…しかし、畜生、まさかアイザックが警察の厄介に
なるなんて」
…
「ウェルズさん?」
「ああ、そうだよ、あんたらに無実の罪で拘束されてる、可哀相なアイザック・ウェ
ルズの母親さ」
「アイザックに会いたいんだ、担当者を呼んでくれないか?」
…
ザッ
「あいにくですが、アイザック・ウェルズは、まだ取調べ中です。会わせるわ
けにはいきません」
「また、あんたかい。マイク、こいつだよ、昨晩駆けつけたあたしを追い返した、
石頭のトーヘンボク野郎は」
「本官は、義務を果たしただけです。規則ですから!」
「弟に会わせろ!」
「だから、さっきも言ったとおり、彼は今取調べ中です!」
「あんたじゃ、話にならない。担当者を出してくれ!」
カツ、カツ、カツ…
「…騒がしいけど、どかしたー?」
!?
「な、なんだい、あんたは?」
「ん?いや、俺はただのさすらいのヒラ巡査…って、なんだ。昨日の夜、署の
壁を蹴って帰った人じゃん」
「…」
「まだ跡ついてるよー、見る?」
「…息子に、会いたいのよ。いま、拘留されているアイザック・ウェルズに」
「あーそっか…でも、確か今、取調べ室にいるんじゃないかな。…よし」
「?」
「ちょっと待っててね」
…
「はい、お待たせ。担当者の弟。さっきの巡査よりは、話通じると思うよ」
「…」
「…」
「名前は、マイケル・ハート刑事」
(アンディのやろう…)
「…ご家族の方たちですね?お気持はお察しします」
「アイザックは?あいつは、無事なのか」
「あの、まず気持を落ち着けて下さい。アイザック君に関して、われわれ警察
は別に犯人扱いをしているわけじゃないんです。
ただ、現場にいた彼に任意同行を求め、事情を詳しく聞いているだけで…」
「未成年者を一晩、留置場に入れておいて、犯人扱いをしてないだって?
冗談じゃない!!」
ガタッ
「アイザックのことは、もう大きなニュースになってるんだ。世間じゃ、もうあい
つを放火犯呼ばわりし始めてるんだぞ!
弟の将来はどうなる?精神的苦痛に対する損害は?」
「…」
「あんたたちは、今起きてる事態の全てに責任が取れるのか」
「…我々も最善を尽くしています」
「どうだろうな。弁護士が来れば、もう少しましな話し合いが出来るだろうが…
とにかく、弟にはどうしても会えないんだな?」
「本当に、申し訳ないと思いますが、市法で定められているんです。あなた方
が来たことは、彼に伝えますよ」
「…アイザックに伝えてくれ、お前は何も心配するなって」
…
<昼―――ブライトリバー警察内の食堂>
「朝、すごかったなーアイザックの兄貴」
「まだ大学生とは思えない迫力だったな…っていうか、何で僕を呼ぶよ?!」
「だって、警部と警部補と警視は事情聴取中だったんだよ?」
「…」
「グリーマン署長呼ぶわけには、いかないじゃん」
「あ、当たり前だろ、バカ」
もぐもぐ
「でも、今回の任意同行って一応、ウェルズを保護する意味もあんだけどねー」
「その辺、おおっぴらに言えないからなー…」
「市民が怖がっちゃうからねえ。なーんか、俺らって損な役回りだね」
「しかしさあ…バージルって、何であーなんかな?」
「ああ、パーカー巡査?」
「頭固いって言うかさー。ウェルズだって、まだ犯人だなんて決まってない
のに、すっかり犯人引っ張ったつもりでいるんだぜ、うきうきしちゃってさぁ」
“俺、これでやっと、刑事に昇進できるかも!?”
「…なんて言うんだぜー」
「そう言えば、あいつ前から刑事になりたがってたな…」
「あいつも、もっとユル~く生きりゃいいのに…俺みたいにさ」
「いや、お前はユルすぎだから」
―――――刑事課の署員に告ぐ。即時、F-3号室まで集結せよ。
「ん、何?いまの館内放送」
―――――刑事課の署員に告ぐ。即時、F-3号室まで集結せよ。
「集まれって」
「F-3?なにか、緊急事態が起きたのかな?」
「…まだ、食い終わってないのに」
「バカ、いくぞ!」
<午後―――ブライトリバー警察内銃器保管庫>
「みな、揃ったか?」
「警部、何事です?」
「ポーター刑事、今から説明する。
現時刻より、明日の朝にかけて、フロータウンの一部地域に刑事課の全捜査
員による緊急警備網を敷く」
「!?」
「目的は、連続放火未遂事件の犯人の確保、および犯罪組織からの保護だ。
皆に武器の携帯を許可する」
「ちょ、ちょっと待ってください、放火犯は…」
「パーカー巡査、ウェルズのことは、今はいったん忘れるんだ。武器を取れ」
「…」
「面白くなってきたぜ」
「…目的は、被疑者の確保だ。走りすぎるなよ、リカルド」
「…」
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「すまないね、マイク。大学から呼び戻しちまって」
「いいさ、オヤジに任せるわけにもいかないだろ。
大学の試験は昨日終わったし…しかし、畜生、まさかアイザックが警察の厄介に
なるなんて」
…
「ウェルズさん?」
「ああ、そうだよ、あんたらに無実の罪で拘束されてる、可哀相なアイザック・ウェ
ルズの母親さ」
「アイザックに会いたいんだ、担当者を呼んでくれないか?」
…
ザッ
「あいにくですが、アイザック・ウェルズは、まだ取調べ中です。会わせるわ
けにはいきません」
「また、あんたかい。マイク、こいつだよ、昨晩駆けつけたあたしを追い返した、
石頭のトーヘンボク野郎は」
「本官は、義務を果たしただけです。規則ですから!」
「弟に会わせろ!」
「だから、さっきも言ったとおり、彼は今取調べ中です!」
「あんたじゃ、話にならない。担当者を出してくれ!」
カツ、カツ、カツ…
「…騒がしいけど、どかしたー?」
!?
「な、なんだい、あんたは?」
「ん?いや、俺はただのさすらいのヒラ巡査…って、なんだ。昨日の夜、署の
壁を蹴って帰った人じゃん」
「…」
「まだ跡ついてるよー、見る?」
「…息子に、会いたいのよ。いま、拘留されているアイザック・ウェルズに」
「あーそっか…でも、確か今、取調べ室にいるんじゃないかな。…よし」
「?」
「ちょっと待っててね」
…
「はい、お待たせ。担当者の弟。さっきの巡査よりは、話通じると思うよ」
「…」
「…」
「名前は、マイケル・ハート刑事」
(アンディのやろう…)
「…ご家族の方たちですね?お気持はお察しします」
「アイザックは?あいつは、無事なのか」
「あの、まず気持を落ち着けて下さい。アイザック君に関して、われわれ警察
は別に犯人扱いをしているわけじゃないんです。
ただ、現場にいた彼に任意同行を求め、事情を詳しく聞いているだけで…」
「未成年者を一晩、留置場に入れておいて、犯人扱いをしてないだって?
冗談じゃない!!」
ガタッ
「アイザックのことは、もう大きなニュースになってるんだ。世間じゃ、もうあい
つを放火犯呼ばわりし始めてるんだぞ!
弟の将来はどうなる?精神的苦痛に対する損害は?」
「…」
「あんたたちは、今起きてる事態の全てに責任が取れるのか」
「…我々も最善を尽くしています」
「どうだろうな。弁護士が来れば、もう少しましな話し合いが出来るだろうが…
とにかく、弟にはどうしても会えないんだな?」
「本当に、申し訳ないと思いますが、市法で定められているんです。あなた方
が来たことは、彼に伝えますよ」
「…アイザックに伝えてくれ、お前は何も心配するなって」
…
<昼―――ブライトリバー警察内の食堂>
「朝、すごかったなーアイザックの兄貴」
「まだ大学生とは思えない迫力だったな…っていうか、何で僕を呼ぶよ?!」
「だって、警部と警部補と警視は事情聴取中だったんだよ?」
「…」
「グリーマン署長呼ぶわけには、いかないじゃん」
「あ、当たり前だろ、バカ」
もぐもぐ
「でも、今回の任意同行って一応、ウェルズを保護する意味もあんだけどねー」
「その辺、おおっぴらに言えないからなー…」
「市民が怖がっちゃうからねえ。なーんか、俺らって損な役回りだね」
「しかしさあ…バージルって、何であーなんかな?」
「ああ、パーカー巡査?」
「頭固いって言うかさー。ウェルズだって、まだ犯人だなんて決まってない
のに、すっかり犯人引っ張ったつもりでいるんだぜ、うきうきしちゃってさぁ」
“俺、これでやっと、刑事に昇進できるかも!?”
「…なんて言うんだぜー」
「そう言えば、あいつ前から刑事になりたがってたな…」
「あいつも、もっとユル~く生きりゃいいのに…俺みたいにさ」
「いや、お前はユルすぎだから」
―――――刑事課の署員に告ぐ。即時、F-3号室まで集結せよ。
「ん、何?いまの館内放送」
―――――刑事課の署員に告ぐ。即時、F-3号室まで集結せよ。
「集まれって」
「F-3?なにか、緊急事態が起きたのかな?」
「…まだ、食い終わってないのに」
「バカ、いくぞ!」
<午後―――ブライトリバー警察内銃器保管庫>
「みな、揃ったか?」
「警部、何事です?」
「ポーター刑事、今から説明する。
現時刻より、明日の朝にかけて、フロータウンの一部地域に刑事課の全捜査
員による緊急警備網を敷く」
「!?」
「目的は、連続放火未遂事件の犯人の確保、および犯罪組織からの保護だ。
皆に武器の携帯を許可する」
「ちょ、ちょっと待ってください、放火犯は…」
「パーカー巡査、ウェルズのことは、今はいったん忘れるんだ。武器を取れ」
「…」
「面白くなってきたぜ」
「…目的は、被疑者の確保だ。走りすぎるなよ、リカルド」
「…」
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