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ここはPCゲーム『ザ・シムズ2』の 物語風プレイ日記を公開しているサイトです
05 / 19 Sun 10:13 ×
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06 / 28 Thu 23:24 #御風 ×

そのアパートは、ブライトリバー東区で最も低所得者層の暮らす一角に、
ひっそりとたたずんでいた。

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日の差さない廊下は、カビと埃の匂いがした。

一足ごとに、床板がきしんで音をたてる。

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ドアベルを鳴らし、しばらく待っていると、やがて部屋の主が出てきた。








「ジュディ・ロングさんですね?」

「・・・・」

「私は、アンジェラ・ダルトン。あなたに、お話があって来ました」

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「・・・・・・・・・・ずいぶん、おそかったのね」

「・・・・」

「もっと早く、誰か気づくと思っていた」

そう言って、彼女は静かに口元をゆがめた。

ひょっとすると、笑った、のかもしれない。


「かけてもいいですか?」

あたしが聞くと、ジュディ・ロングは無表情にうなずいた。

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「外にはパトカーが?」

「いいえ」

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「私は警察ではありません、新聞記者です」

「・・・記者・・・そう」

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「・・・でも私のこと・・・警察に、もう連絡してあるんでしょう?」

あたしは、頷いた。

「何をしに来たの?」

「あなたに聞きたいことがあったからです」

「・・・・・」

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「・・・・・」

「私のインタビューを、受けてくれますか」

「・・・」

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「いいわ」

「・・・・」

「今まで、誰も私の言うことなんて、聞いてくれなかった。最後に、あなたに
話していくのも、いいかもしれない」

「・・・・ありがとうございます」


・・・


・・・



―――――――――――およそ、1時間後。

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ジュディ・ロングはブライトリバー東西区の連続放火事件の容疑者として、警
察への任意同行を求められた。

パトカーへと連行される彼女の口元には、ずっと不思議な笑みが浮かべられ
ていたという。








局にて。

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「よくやったな、ダルトン!!容疑者へのインタビュー記事は、明日の一面に
載ることになる!大スクープだ!」

「・・・・」

「どうした、嬉しくないのか?お前の頑張りが実ったんだぞ」

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「局長」

「なんだ?」

「人間って悲しい生き物ですね」

「おいおい、何だよいきなり。ジュディ・ロングの境遇に同情でもしたか?」

「いえ、ただ彼女の話を聞いて、何だかやり切れなくなっただけです。インタ
ビューに向かう前は、勇んで記事を書くつもりだったはずが…」

なんだか、気が滅入ってしまって。

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ジム・ハーネストは、しばらく無言であたしを見つめていたが、やがて言った。

「ダルトン、マスコミってのはな、自分がいい思いしたいから記事を書くんじゃ
ない。スクープはそりゃ記者の名誉だが、それが一番の目的かと言われりゃ
違うだろう」

「・・・」

「俺達が紙面に載せなきゃ、埋もれていく事実や思いがあるんだ。お前は
ジュディ・ロングの言葉を受け取ったんだろうが」

「・・・はい」

「それが分ってるんなら、世をはかなんで鬱になってないで、歯ぁ食いしばっ
てでも記事を起こせ。それが、お前の仕事だ」

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そうだ。忘れちゃいけない・・・これが、あたしの仕事。



あたしは――――新聞記者なんだ。







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