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ここはPCゲーム『ザ・シムズ2』の 物語風プレイ日記を公開しているサイトです
05 / 19 Sun 10:50 ×
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03 / 03 Sat 09:20 #御風 ×
西区の取材を終えた後、局へ戻る前に東区にある大型スーパー、ペリーズ・
ファイン・マーケット(通称PFD)に立ち寄ることにした。

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PFDは住宅街に程近い立地から、ブライトリバーでもかなりの集客数を誇っ
ているスーパーマーケットだ。
十代の頃は、よく学校帰りに友達と連れ立って、ここの飲食コーナーに通っ
たものだった。

そういえば。
…元カレのパトリックとも、よく一緒に来たなあ。

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あんまりお金ないから、ジュースのシェアとかしちゃってさ。
話題と言えば、学校のことだとか、友達のことだとか、ホント他愛もないこと
ばかり。
なのに、何故だかすっごく楽しかった。
あの頃は、まさか数年後に浮気されて、大喧嘩の末に別れるだなんて想像
もしてなかったんだよなー…。

…ちっ。
なんか、思い出したら、また腹が立ってきた。あの馬鹿男め。

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まあ感傷や恨みつらみは、それくらいにしておこう。
洗剤が残り少なくなってたんだよね。(料理が出来ない分、我が家の洗濯は
あたしが担当しているのだ)
確か、チラシによれば今日は洗剤の大特価セールをやっているはずだ。

せんざい、せんざいっと。


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…ありゃ?
いつもうちで使っている部屋干し用洗剤が見当たらない。
共働きの家庭の必需品、『部屋干しブライトリバー』…。
うわ、やだなー困ったな。品切れだろうか。

店員さんに、在庫がないか聞いてみようっと。

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「部屋干しブライトリバー?ごめんなさいねえ、今日はもう現品限り。棚に置い
てなきゃ在庫は無し」
「ええっ!?」
「大特価セールで、昼までにほとんど出ちゃったのよ。いや~予想以上の売れ
行きで」
「…」

何じゃそりゃ。
オイルショックか、何かですかブライトリバー。
がっくし。

「悪かったわね、明日には入るから、そう気を落とさないで」
ぽんぽん、と肩を叩かれた。
あたしの勝手な思い込みかもしれないけど、こういう所の「勤続ン十年」みたいな
パートのおばちゃんて、なぜか妙にフレンドリーな人が多い気がする。
このおばさんも、顔は怖いけど、気はよさそうだ。
あたしが諦めて、きびすを返そうとした時だった。

「ママ」

若い女性の声がかかった。

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「ガーティじゃないか、買い物にきたのかい」
「夕飯の材料でも買おうかと思って」
「そんな身体で…宅配にすりゃいいだろうに」
「だってこのところずっと、店が人手不足で忙しいって、母さんこぼしてたじゃ
ないの」

ほう、娘さんかな。そろそろ臨月って感じのお腹をしている。

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ん?
「ガーティ?」

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「…アンジェラ?」

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がしっ☆

「うっそ、何してるのーこんなとこで!」
「そっちこそー!久しぶりー!」
なんと、大学時代の同期、ガーティ・ウェルズだった。同じ寮で、同じ釜の飯
を食べた仲だ。しばらく連絡を取り合っていなかったけれど、顔を見たら当時
のことが思い出されて、どっと懐かしさがこみ上げてきた。

「何だ、あんた達知り合いかい?」
パートのおばさん改め、ガーティのお母さん(そう言われてみると顔がよく似て
いる)がおやおや、という顔で聞いた。

「アンジェラ・ジャクソンよ、大学で同じ寮だったの」
「そうそう。ただし、今はジャクソンじゃなくて、ダルトンだけどね」
にやり、と笑って結婚指輪を見せる。

ガーティも、今ではウェルズではなくマーティンという姓に変わっていた。
せっかく再会したんだから、ということで、ガーティと連れ立って軽くご飯を
食べに行く事になった。

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何でも、今はガーティもフロータウンに住んでいるらしい。
「そう言えば、ネリーっていま警察官なんだっけ?」
「うん、街でパトロールとかしてるみたい」
ネリーは寮こそ違ったものの、あたしやガーティと同じ頃に大学に通ってい
たので、一応面識があるのだ。

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「どっちも忙しくって、コミュニケーションとるのが大変でさ」
と愚痴ると、ガーティはうんうんとうなずいた。
「あー分かる分かる、うちも共働きだからさ。今は会社に産休もらってるけど」
ガーティの旦那さんは、何してる人だったっけな…

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「ああ、言ったことなかったっけ?警察署の近くの『ナイト&デイ』っていう
コンビニ、知らない?」

え。

「それって確か、あの放火にあった…」

「そう、そこよ。その店の雇われ店長してるの。ちなみに、旦那はジェシーって
言うんだけどね」

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あれかー!!!

知らなかった、あの店長、ガーティの旦那さんだったのか!
指に光る結婚指輪から、妻帯者だとは知ってたけど、まさか自分の友人の
ダンナだったとは。
うわーびっくり。世間って狭いね!

ひとしきり驚いた後。
「大変だったね、放火…」
あたしが神妙な顔でそう言うと、ガーティの顔から笑みが消えた。

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「正直、火をつけたやつを許せない気持よ。事件のせいで、ジェシーも従業員
も警察にしつこく事情を聞かれて…そもそもが雇われの身でしょ。責任問題や
ら何やらで、彼、事件の後は心労がものすごかったのよ」

「だろうねえ」
「ほんと、何が面白くて火なんかつけるんだか」
ガーティはまなじりを吊り上げて、吐き出すように呟いた。

あたしが放火事件を追っている事を話すと、ガーティの表情が怒りから気
遣うようなものに
変化した。
「アンジェラ、大丈夫なの?」
「何が?」
「ジェシーが、最近街が物騒になってるって言ってたわよ」
「それって、どういう…」

ガターンッ

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「てめー、もういっぺん言ってみろやコラ?」
「やんのかオラ!?」
「ナメんじゃねえぞ、コラ!?」


な、なんだ、あれは。語尾にコラとかオラとかつける一族ですかコラ。
いや、そんな冗談はさておき。

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「…もしかして、ブランドンファミリーがらみ?」
「知ってるの?アンジェラ」
「取材現場でちょっとね」
しかし、ブランドンファミリーの若い連中が放火犯を探してることは聞いたけ
れど、それが何故チンピラ同士のいさかいに?

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「あたしも聞いた話だから、よくは知らないんだけど、アンジェラ…ルシアノ
ファミリーって知ってる?」
しばし、記憶の引き出しを探ってみる。
ルシアノ、ルシアノ。ぐるぐる。
…思い出した。
「賭博と街金がらみで、時々警察に調べられてるとこじゃない?」
「うん、それでジェシーによると、なんかブランドンファミリーの間に、変な噂が
流れてるんだって」
「うわさ?」

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「ルシアノファミリーが、放火犯の犯行に見せかけて、ブランドンファミリーの
縄張りを荒らしてるんじゃないかって」

「!」

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その後、店の人が間に入って、目の前の小競り合いは何とか止んだけ
れど…。

今聴いた話は、やばさ満載だ。
いつの間にそんな物騒な街になったんだ、フロータウンは。
しかし確かルシアノとブランドンって、確か同じ組織の傘下にあるファミリー
じゃなかったっけか。

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「記事を書きたいのは分かるけど…今は捜査を警察に任せた方がいいん
じゃないかと思うのよ」
「…」
「そう言えば、ネリーはあなたが放火犯を追ってる事知ってるの?」
「…」
「まさか、知らないの?」

――――――――――――だって言えば、絶対反対されるからさ。

ぼそぼそ言い訳めいたことを呟くと、ガーティにがつんと釘をさされた。
「当たり前でしょ、街がそんなことになってるのに、自分の女房がその渦中
でうろうろしてたら、そりゃ心配するわよ」
「…」

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「…」
「何でそれほど放火犯を追いたがるのよ」
「スクープが欲しいってだけじゃ、理由にならない?」
「それだけ?」



やや長い間があった。
やがて、ガーティに静かな口調で問いかけられた。


「…もしかして、“放火”だからなの?」


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「そう、分かった」
「…」
「アンジェラ、あなた…まだ火を使った料理ができないのね?それが犯人
を追う一番の理由なんでしょう」



あたしは、何か言おうとしたけれど、とっさに声が出なかった。
そして多分、それがガーティの問いかけにたいする、一つの答えになって
しまった。


そう、実はあたしは炎恐怖症だ。
十代の頃から、ずっと。


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