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ここはPCゲーム『ザ・シムズ2』の 物語風プレイ日記を公開しているサイトです
05 / 19 Sun 10:57 ×
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03 / 04 Sun 00:21 #御風 ×

耀川飯店は、支局の入っているビルの一階にある中華料理屋だ。
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ジョウさんという老人と、その娘さんとおぼしき女性が、二人で切り盛りして
いる。
味は、万年外食男である、ハーネスト局長のお墨付き。あたしもちょくちょく
利用しているが、確かにここの中華はかなり美味しい。

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…それにしても、局長の奥さん、まだ家に戻ってないんだなー。
仕事ばっかりしていると、ああなっちゃうという悪い見本だ。
あーワーカーホリック気味のあたしも、気をつけねば。

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「今日のお勧めはタンメンよー」
「あ、じゃあそれ一つ」
「俺も同じものをもらおうかな」

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「…で、どうなんだ取材の状況は?」
「ノーコメント」
「警察みたいなこと言うなよ」
警察官に、そんなこと言われたくないなあ。

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「ま、ぶっちゃけると、はかばかしくありまへん」
さっそく運ばれてきた料理を、がふがふとほおばりながら、打ち明ける。
「成果なしか」
「なんかねー現場でいくら話しを聞いても、犯人像がつかめないのよ。どうも
事件から受ける印象に統一性がないっていうか」
アダムは、ふむふむという顔で、あたしの言葉を聞いている。

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「はじめ、ブライトリバー東区の住宅街で放火が起きたでしょ?白昼堂々
サラリーマンの家庭のゴミ捨て場が放火されて」
「ロビンス家だな」
「それから、東西区の住宅であちこちで同じような放火が起きて…なのに、
目撃者はゼロ。そして、放火はフロータウンにまで飛び火した」
「そうだ」
「その後、フロータウンでも放火が続いてる。逆に、東西区では放火が止ん
でるわよね。これは、あたしの勝手な印象なんだけど、フロータウンの事件
って、住宅より店舗の方が狙われる確率、高くない?」

あたしの言葉に、アダムは同意した。
「お前も気がついてたか」
「そりゃね。東西区とフロータウンじゃ用途地域がだいぶ違うから、当然と
いえば当然かもしれないけど…それにしても、比率が違いすぎるわよ」

つまり。
やっぱり、これはあれなんじゃないか、と。

東西区の犯罪を真似た…模倣犯の存在

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「警察内部でも、そういう意見は出てるよ。公に発表こそしてないが」
「やっぱしなー」

ブライトリバー東西区の放火犯人と、フロータウンの放火犯人は、全くの別人
なのではないか?
一連のインタビューを通じて、あたしが感じたのは、それだった。
もちろん、例えそれが事実だとしても、放火犯の目撃情報が全くないのは
不自然なんだけど。

犯人が複数存在するとなれば、動機も複数あるってことだ。
犯罪の動機。
なぜ、火をつける?

…そう言えば、ルシアノファミリーの陰謀だって噂があるんだっけ。
あたしは、アダムに今日ガーティから聞いた、その噂のことを話してみた。

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「ルシアノファミリーが、放火に関わってるって?」
「そういう噂が流れてるらしいのよ、ブランドンファミリーの間で」
「…」
「まずいよね」
「かなり、まずいな」
アダムの顔が険しくなった。それだけ、街の空気が不穏さを増しているんだ
ろう。あたしの想像より、危険度は高いのかもしれない。

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「でも、スナックのゴミ捨て場が放火されたくらいで、二つの犯罪組織が動く
なんて」
「スナック『マリポサ』の入ったビルでの放火か。それもあるが、ブランドンファミリー
が動いたのは、その事件のせいだけじゃないぞ」
「どういうこと?」

「アンジェラ、『ルビークラブ』という、ニューハーフバーを知らないか?」
「?」

ルビークラブ。
そう言えば、放火の被害にあった店の一つに、そんな名があったような気がする。
まだ取材には行っていなかったけど…

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「『ルビークラブ』の経営者は、ブランドンファミリーのトップの愛人だ」
「へえ」
「ファミリーのトップである、リラード・ブランドンは愛人の店が放火未遂の
被害に遭ったことに激怒したらしい。放火犯を捕まえた者には報酬を出す
と宣言して、それ以来、ブランドンファミリーはずっと放火魔探しに血眼に
なってるんだ」
「よりによって、マフィアの愛人の店に火をつけちゃったわけか、犯人は。
危険なことをしたもんだ」
「まったくだよ」

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「アンジェラ…お願いがあるんだけど」
「なに?」
「今から三日間だけ、調査をやめてくれないか?」
は?
「何で、理由は?」
「今は明かせない。が、お前の身の安全に関わることだ。頼むよ」

なにそれ。

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「警察権力で、ジャーナリズムを押さえ込もうったって無理なんだからねー」
「アンジェラ」
ふんだ。
理由も聞かずに、取材を中止するなんて出来ますかっての。

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「警察官としてじゃなく、お前の身を心配する友人として、頼んでるんだ」
「…」
「三日だけだ」
「…」

あたしは、何とも答えなかった。

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支払いを終えて、店の外に出た時。

「アンジェラ」

…ネリーだった。

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「どうしたの、ネリー?」
「迎えに来たんだ。最近は物騒だから…あ、これはハート警部」
アダムを見て、ネリーの背筋が心なしかまっすぐになった。

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「はは、もう勤務時間じゃないんだ。そんなにきちっとしなくていいよ」
「はあ」
「ごめんね、夕飯に君のトコの奥さん借りちゃったよ」
アダム兄ちゃんは、にこにことしている。
一方、ネリーの顔に笑みはない。浮かない表情をしている。

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車に乗り込むときも、ネリーは無言だった。

「どしたの、ネリー?」
「…」

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「さっき、支局の前でハーネストさんに会ったよ」
「…?」
「アンジェラ、放火犯を追ってるんだって?」

ぎゃ。
バレた。

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「何で俺に黙ってたんだよ」

「…ごめん」

「反対すると思った?」

思った。捜査に反対されたくなかった。それに…

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「心配、するでしょ?」
「当たり前だろう」
お前を心配するのは俺の権利だろ、とネリーは怒ったように言った。

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「ごめんね」
「…」

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ごめんね、ネリー。
あなたが、あたしを心から愛して、心配してくれているって、知っているんだ。
そのことに、甘えてごめん。大好きだよ。

何度も、心の中で謝りながら、あたしはそっと目を閉じた。



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