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ここはPCゲーム『ザ・シムズ2』の 物語風プレイ日記を公開しているサイトです
05 / 19 Sun 10:33 ×
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03 / 13 Tue 02:19 #御風 ×
“――――調査をやめてくれないか?”

アダム兄ちゃんには、ああ言われ

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“――――お前を心配するのは俺の権利だろ”

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大切な人に余計な心配をかけ…。


にも関わらず、今日も取材は止む事なしに続行中。一度動きはじめると、制
止できない、摩擦力ゼロなおのれが憎い…。

さて、本日の取材現場は、フロータウンの繁華街。

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けばけばしく飾り立てた、見るからに風俗やってまっせ☆な感バリバリの
お店。その名も、『KISSXXX』。さすがのあたしも、これまで足を踏み入れ
たことはない。
位置的には、ルビークラブや、スナック『マリポサ』のあるビル街を北上した
場所にある。逆に、この道をまっすぐ南へ向かうと、例のコンビニ『ナイト&
デイ』、市警察署、そして企業が軒を連ねるオフィス街へと出ることになる。

『KISSXXX』 
これまで、あたしが回っていたのは主に放火の被害にあった現場だった。
しかし、この店は、今のところまだ放火の被害に遭ってはいない。
それなのに、何故ここへ来たのかと言うと…
ん?

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…。
あの、きっちりセットされた薄茶色の後頭部には、見覚えがある。
どーも近頃のあたしは、ハート家の人間に縁があるらしい。
足音を立てないように、素早く背後に忍び寄り、

ぽんっ

と肩を叩いた。
「おにーさーん、昼間っからフーゾク通いデスカー?」
「わっ?」

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「やっほーアンジェラだよー久しぶり」

「…げっ」

あたしを認識するなり、マイケル・ハートの顔が引きつった。
「あれ、どしたの?あたしの顔、忘れちゃった?」
「…ほ、本官は現在、勤務中で…」
ああ、そう言えば、マイケルは刑事になったんだっけ。

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「そっかー残念だなー!!覚えてるのは、あたしだけか!」
「いや、あの」
「あーそう言えば昔、うちに遊びに来たはいいけれど、テレビゲームに熱中
したあまり、トイレ行くの忘れて、お漏らししちゃった男の子がいて…」
「わ、わ!その話は…!」
「あれ、誰だったかなあ、確か近所の男の子で名前はマイ…
「わーわーわー!!!!」

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「悪かったよ、覚えてるってば!!昔の話やめろよ!お願い!」
「はじめから、そうやって素直になればいいのに。あんた、十代になってから、
やけにカッコつけ出したよね」
「いいだろ別に」
「うん、まあいいや。ねえ、今日はここに何しに来たの?」
「…」

マイケルは黙り込んだ。


「そう言えば昔、近所の男の子がテディベアを使って女言葉で腹話術を…」
「あーもうっ分ったよ、言うよ!」

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「放火をめぐって、ブランドンファミリーとルシアノファミリーが小競り合いをして
るって話、アンジェラが兄貴にしたんだろ?」
「まーね」
「この店、ブランドンファミリーの幹部の一人が経営してるんだ。少し探りを入れ
ついでに、警察が組織の抗争に目を光らせているって事実を、知らせてくるよう
言われてる」
「釘刺しにきたってことね」
「…兄貴が、やけに心配してるんだよ」

マイケルは、話ながら歩き出した。
ここへ来た目的は、ブランドンファミリーの様子が探りたかったからだ。
ついでに便乗させてもらうとしよう。
あたしが同行しても、文句を言う気配はない。多分、もう諦めたんだろう。
昔からあたしとマイケルの関係は、こんな感じなのだ。

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「心配してるって、何を?」
「血が、流れることを。放火事件はもちろんだけど、犯罪組織が関わって
余計な被害者が出るのを一番恐れてるみたいだ」
「…」

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店に足を踏み入れると、店の女の子たちの写真が壁一面に貼られていた。
ふむふむ…なかなか美人が多いようで。

奥のカウンターに、店番とおぼしき男が座ってる。ひょっとすると、ブランドン
ファミリーの一員だという、この店の経営者かもしれない。

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あたし達が近寄っていくと、男は眠たそうなまぶたを上げた。
マイケルが小さく
『刑事のふりして、黙っててくれよ』
と、あたしだけに聞こえるように、囁いた。

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「なんだい、あんたら?うちは女とデカはお断りなんだけどね」
「お察しの通り、市警察署のものだ」

マイケルがチラ、と警察証をのぞかせる。ほほう、なかなか刑事っぽさが板に
ついてるじゃないの。

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「おいおい、警察の旦那が何しにうちへ?査察ならとっくに済んでるぜ。うち
は未成年者も雇っちゃいないし、健康診断だって…」
「店のことで来たわけじゃない」

―――お前たちのファミリー、最近ルシアノとよくもめてるそうじゃないか。

マイケルが、そう言ったとたん、男は仮面を取り払ったかのように激昂した。

「ルシアノだ!?」
ガンッと椅子を蹴り飛ばして、立ち上がった。
「けっあいつらは、クズだぜ、畜生め!」

マイケルは少し面食らったようだ。
「…随分、気に食わないみたいだな」
「ったりまえだろうが!あんたらデカがどういうつもりかは知らないが、いいか
放火犯は間違いなくあいつらだ!

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「そんなもの、何の証拠もない話だ」
「証拠なんか必要ない、あいつらには火をつける理由がある、それだけで充
分だろうが!え?なのに、何で逮捕しねえんだ!?」
「…んな、証拠もなしに、逮捕できるかー!イメクラの婦警さんごっこと同じ
に考えるな!」

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なんか、いま、問題発言しませんでしたか、マイケル。

ま、それはともかく。
ブランドンの人間が、ルシアノの一言で、ここまで逆上するとはね…。
しかし、ルシアノファミリーが関わっている、という情報は
ただの“噂”じゃなかったっけ?
目の前の男も、その口で「証拠はない」と言ったばかりだ。

あーなんか、アダム兄ちゃんが恐れるのも分る気がしてきた。
猜疑は人の口を経るにつれて、根拠のない真実味を帯びてくる。武装した組
織と組織が、その集団心理でもって暴走すれば、一体どれほどの被害が出る
だろう。

キイ…
扉の開く音がして。
次いで、アニメのキャラクターみたいな、細くて高い声がした。

「マービン、お客さん来たの~?」

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お店の子かな?
人形みたいに可愛い娘だ…何でまた、こんな店で働いてるのかなあ。

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「こいつらは客じゃねえデカだ、部屋に戻ってろ、ルル」
マービン、と呼ばれた男は、少し我に返ったように言った。

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「とにかく、警察はお前らの動向から目を離さずにいる。馬鹿な真似はし
ないことだ、いいな」

マイケルは、そう捨て台詞を吐いて…すたすたと、店から足早に出て行った。
…って、おいおい。
もう、これで任務終了?

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「あれで、良かったわけ?」
「…まあ、当初の目的は、一応達したというか」
「けど、警察なんぼのもんじゃいコラって感じじゃなかった?早いとこ放火犯
見つけないと、本当に近いうち抗争が起きるよ、あれは」
「うーん」

気楽に言ってくれるなあ、とマイケルは頭をかいた。

「とにかく、危険度は分っただろ。アンジェラもちょっと取材は控えてよ」
「兄貴と同じこと言うねー」
「アンジェラに会ったら、念を押しとけって、言われたんだよ」

やれやれ、信用ないねえ。
あたしは、肩をすくめてみせた。

「…ま、今のでさすがに怖くなったからね、今後は自重するわ」
「よし、じゃあ僕は今から署に一旦もどるから。アンジェラは、自分の車ある
んだろ?」

あたしがうなずくと、マイケルは
「早く新聞局に戻りなよ、じゃあまた」
と言いながら、手を振って離れていった。



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さて、次はクラブ『ベルヌイ』に向かいますかね。

え?自重?
そんな言葉、アンジェラ・ダルトンの辞書には載ってないんですよ。
あしからず。


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