今日は土曜日。
前からの約束どおり、ジェシカとハニーがうちに遊びに来た。
「いらっしゃい!」
「なんか、勢いで朝から来ちゃった…まだ家族の人寝てるんじゃない」
「いいの、いいの。ま、上がってよ」
ちなみに、これがうちのアパート。一階の向かって左側の部屋が、我がポーター家。
以前はお隣さんがいたんだけど結婚して、出て行っちゃった。だから今はうちだけ。
日当たり良好、学校には程近い好立地。でも狭い!5人家族が暮らすには、けっこ
う厳しいよ。
キッチンでおしゃべりしてたら、父さんがパジャマ姿で出てきた。もー恥ずかし
いなあ…せめて着替えてきて欲しかった。
「父さん、初めて会うでしょ。ハニーとジェシカだよ」
「ああ、学校の友達か。びっくりしたなあ、他人のうちのベッドで眠っちゃったか
と思ったよ」
牛のように眠そうな声だ。
「お邪魔してます。今日は、会社はないんですか?」
ぺこりと頭を下げてから、ハニーが聞いた。
「遅出でね…まあ二人ともゆっくりしてって頂戴」
そう言って、父さんはのそのそとシャワーを浴びに行った。頼むからバスタオル
一枚で出てこないでねー。
出勤する父さんと入れ替わるように、母さんとうちの双子ちゃん達が起きてきた。
母さんは今、もう一人の子供を身ごもっている。また女の子だったら、我が家の男女
比率は5:1になる。父さんは何卒息子をくださいなと、時々お星様に祈ってるらしい。
もう性別はどっちかに決まってるはずだから、意味ないと思うんだけどねー…。
ちなみに、こっちがマリー。
で、こっちの髪の短いのがロザリー。
ついでに紹介。われらがお母様、ミセス・ポーターのマリサさん。
昼ごはんの後で、ジェシカがあたしに言った。
「リナのお父さんとお母さん、どっちもいいね…穏やかで優しそう」
どうやら、うちの両親を気に入ったらしい。人見知りの激しい彼女にしては、リラック
スした様子で、妙ににこにこしてる。
リビングのソファでは、ハニーと双子がゲームで対戦して大盛り上がりしてる。
「ジェシカのご両親だって、いいじゃん。なんか、かっこいいし」
「うん…私も家族のこと好きだけど」
なんか時々疲れる…
ジェシカは、そう、ぽつりと呟いた。
あたしは、少し考えた後で、返事をした。
「うちも疲れるよ、それなりに。家族ってそんなもんじゃない?ありがたくて、同時に
疲れる存在。権利と義務みたいなもんだよ」
「そっか…」
ジェシカは、納得したような、そうでもないような顔で、ため息をついた。
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