女三人で寄り集まってると、話題がいつまでも尽きない。
ひとしきり学校のことで、盛り上がった。
「昨日、すごかったよね、バービー。それにしても、キッドは最低」
ハニーの言葉に、あたしもジェシカもうんうんと頷く。
「それにしても、あの子のうちも、お母さんしかいないんだね、知らなかった…」
「そういう家、けっこう多いよ。珍しくもないって言ってたけど、あれ本当」
うちのクラスだけでも、レオン・ブロッサム、バービー・ライト、あと確かノーマ・ラン
ゲラクもそうだったはずだ。半分しか血の繋がらない兄弟姉妹を持つ子も、多分
少なからずいるだろう。
あたしがつらつら考えていると、ハニーが、憤慨したように言った。
「でもキッドより許せないの、レナードだよ」
「あー…」
「レオンのお母さんのこと、あんなふうに言うなんて、信じられない。人間的に
許せない、私」
「…」
まあ、元を正せばヤツが元凶なわけだし、ハニーが怒るのも無理はない。レオン
に対する言葉も少しひどかったと思う。
でも、本当はそこまで悪いやつじゃないんだけどなあ。そう思ったけど、二人の
前では一応、口をつぐんでおいた。
その後、ハニーが思い出したように報告してくれた。
「そう言えば私、お祖母ちゃんの店でバイトすることにしたんだ」
「へーいいな、遊びに行こうっと」
「一応、お店なんだから、お客さんとして来てよね」
「その店、魚置いてる…?」
「いやジェシカ、ハニーのお祖母ちゃんの店って確か雑貨屋だから」
「なんだ、そうなの」
「あ、でも魚の形の文鎮とか、魚模様のお皿とかはお店にあるよ」
「わあ…いいね」(←目がきらきらしてる)
本当にそのうち行くねと、あたし達はハニーと約束を交わした。
その日の夜。
二人が帰ってから、宿題でもやろうかと机に向かったら…出たよ、悪魔どもが!
「無限のかなたへさあゆくぞー」
「ゆくぞー!びしゅーん!スリンキイイイーッ」
きゃっきゃっと甲高い声で、うるさいったらない。
「二人とも、お姉ちゃんお勉強中だからー静かにしてー」
「やだー遊んで遊んでー」
「お姉ちゃん、またダンスして、ばたばたダンス!」
うう、うるさいよう。仕方ない、明日は日曜だし、宿題は後回しにしよう。
まずはマリーから。
「ほい、ばたばたダンス~」
「きゃははははっ」
何で、子供ってこんなのが楽しいのかなあ。あたしも、小さい頃はこうだったの
かな。覚えてないけど…。
さんざん踊ったマリーが疲れて寝てから、ロザリーともダンス。
「マリー長々とずるい、あたしもマリーと同じくらいダンスしてね」
「…はい、それじゃロザリーちゃんと、ばたばたダンス~」
「ばったばった!」
ようやく、二人とも寝てくれた。もう体くたくたですよ、お姉さんは。
でも、そのうち二人も大きくなって、ダンスなんかせがまなくなるんだろうな。
そう考えると、少し寂しい気もする。
何だかんだ言って、あたしはちっちゃい子の世話をするのが、けっこう好きな
んだよね。だから、できることなら、将来はいっぱい子供が欲しいな。
…子沢山のジャーナリストって、ちょっと厳しいかな?(あたしの夢はジャーナ
リストになることなのだ)
まあ、何はともあれ、今日は楽しかった。
明日もいい事があるといいな。
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