今日は出勤するなり、「おい、今晩は特別な客が来るからな」って、マービン
に言われた。
なんでも、この街を牛耳るブラックファミリーの御曹司が来るんだってー。
名前は、レナード・ブラックって言って、まだ十代らしい。
あたしは、まだこの町に来たばっかりだけど、ブラック家については、ちょっ
ぴり聞いてる。何でもすっごいお金持ちで、この街じゃいわゆるセレブ。
マフィアで、セレブ。かっこいー。
だれが選ばれるのか、けっこう店の子たちみんな噂してたんだよね。
そしたら、じゃーん!あたしのところに来たよ☆
「いらっしゃ~い」
えへへ、実はねー内心、そんな予感はしてたんだ。
だって、ここでルルが一番可愛いもん♪
年だって、一番若いもんねー。お客さんだって、みんな若いコの方が好きって
言うよ。ルルの肌、ぴちぴちしててイイんだって。
―――――妻と君とは、同じ生き物だとは思えないくらいだよ
だって。
お客さんたちの話を聞いてると、女って枯れちゃうと、もうおしまいだな~って
思う。あーあ、あたし年取りたくないな。
ずーっと、今のままでいたい。いわゆる、アンチエイジング?
しわくちゃになって、旦那さんに馬鹿にされるなんて、想像するだけで、ぞっと
しちゃう。
…
初めて見たレナード・ブラックは、けっこうハンサムだった。マフィアだって言う
から、もっと、ぎとぎとしたニキビのあるマッチョかと思ってた。
そうだよねー、まだ十代なんだもんね。
ギシ…
「…」
「…」
…なんか、何も喋ってくれないよ。
沈黙って、ルルものすごく苦手なんだけど。
「おなまえ、聞いていいですかー?」
知ってるけど。でも一応、コミュニケーションとらなくっちゃ。
「ブラック」
「え?名字?」
「こんなとこで、名前なんかどうでもいいだろ。ブラックって呼べよ。いやなら
好きな風に呼べよ、アランとかスミスとか」
むー。
女の子キライなのかな、この子。十代の男の子って、普通こんな状況だと
冷静じゃいられないよ?もっと期待とか色んなものではちきれそうになってる
もんじゃないの?
ルルとベッドに入ってるってだけでも、もうちょっと嬉しそうなそぶり、して欲
しいんですケド。
「…じゃあ、ブラックさんで」
「よし、さっさと済まそう」
「え」
どさり。
きゃは、思ったより積極的ー。
なんだ、単にやりたくて仕方ないだけだったんだーもう、正直じゃないな♪
ルル、こういう俺様キャラって嫌いじゃないよ。お客さんにも時々いるし。
「やん、強引~」
甘えた声で言ったら、うるさい黙れって言われちゃった。こわーい。
…
「ルル、強引なヒト好きだよー。今のブラックファミリーのトップも、相手殺して
奥さん略奪愛しちゃったんでしょ、そういうのって、スゴイかっこいーよね」
「…」
いきなり、手が止まった。
「…どこで聞いた?」
え?
「どこでそれを聞いたって、言ってるんだ。言え!」
「わ、わかんない…お客さんかな、仕事中に色々とおしゃべりするから…」
「顔は覚えてないのか?」
「だって色んなヒトが店に来るし、ルルあんまり記憶力よくないから…誰に
どこで聞いたのかも覚えてないよ、ごめんなさい」
レナード・ブラックの態度があんまり凄みがあって、あたしは彼が十代だって
ことも忘れて震えあがってしまった。
レナード・ブラックは、いきなりあたしの上から退いて、ベッドから降りてし
まった。うそ、まさか…
「帰る。店のヤツには適当に言っておくから、お前は今回の仕事料もらっとけ」
「…」
ナニソレー
…
バタンッ
…こ、怖かった。まじ怖かった!
なにアレ!あんなに怒るようなこと、あたし言った??
…
本当は、噂してたお客さんの顔も名前も覚えてたけど、あんまり怖くて口に
出せなかった。だってルルのせいで、変なトラブルになったら嫌だもん。
…あの子、お父さんのこと、知らなかったのかな。
どうしよう、ルル、ここクビになっちゃうかも。
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に言われた。
なんでも、この街を牛耳るブラックファミリーの御曹司が来るんだってー。
名前は、レナード・ブラックって言って、まだ十代らしい。
あたしは、まだこの町に来たばっかりだけど、ブラック家については、ちょっ
ぴり聞いてる。何でもすっごいお金持ちで、この街じゃいわゆるセレブ。
マフィアで、セレブ。かっこいー。
だれが選ばれるのか、けっこう店の子たちみんな噂してたんだよね。
そしたら、じゃーん!あたしのところに来たよ☆
「いらっしゃ~い」
えへへ、実はねー内心、そんな予感はしてたんだ。
だって、ここでルルが一番可愛いもん♪
年だって、一番若いもんねー。お客さんだって、みんな若いコの方が好きって
言うよ。ルルの肌、ぴちぴちしててイイんだって。
―――――妻と君とは、同じ生き物だとは思えないくらいだよ
だって。
お客さんたちの話を聞いてると、女って枯れちゃうと、もうおしまいだな~って
思う。あーあ、あたし年取りたくないな。
ずーっと、今のままでいたい。いわゆる、アンチエイジング?
しわくちゃになって、旦那さんに馬鹿にされるなんて、想像するだけで、ぞっと
しちゃう。
…
初めて見たレナード・ブラックは、けっこうハンサムだった。マフィアだって言う
から、もっと、ぎとぎとしたニキビのあるマッチョかと思ってた。
そうだよねー、まだ十代なんだもんね。
ギシ…
「…」
「…」
…なんか、何も喋ってくれないよ。
沈黙って、ルルものすごく苦手なんだけど。
「おなまえ、聞いていいですかー?」
知ってるけど。でも一応、コミュニケーションとらなくっちゃ。
「ブラック」
「え?名字?」
「こんなとこで、名前なんかどうでもいいだろ。ブラックって呼べよ。いやなら
好きな風に呼べよ、アランとかスミスとか」
むー。
女の子キライなのかな、この子。十代の男の子って、普通こんな状況だと
冷静じゃいられないよ?もっと期待とか色んなものではちきれそうになってる
もんじゃないの?
ルルとベッドに入ってるってだけでも、もうちょっと嬉しそうなそぶり、して欲
しいんですケド。
「…じゃあ、ブラックさんで」
「よし、さっさと済まそう」
「え」
どさり。
きゃは、思ったより積極的ー。
なんだ、単にやりたくて仕方ないだけだったんだーもう、正直じゃないな♪
ルル、こういう俺様キャラって嫌いじゃないよ。お客さんにも時々いるし。
「やん、強引~」
甘えた声で言ったら、うるさい黙れって言われちゃった。こわーい。
…
「ルル、強引なヒト好きだよー。今のブラックファミリーのトップも、相手殺して
奥さん略奪愛しちゃったんでしょ、そういうのって、スゴイかっこいーよね」
「…」
いきなり、手が止まった。
「…どこで聞いた?」
え?
「どこでそれを聞いたって、言ってるんだ。言え!」
「わ、わかんない…お客さんかな、仕事中に色々とおしゃべりするから…」
「顔は覚えてないのか?」
「だって色んなヒトが店に来るし、ルルあんまり記憶力よくないから…誰に
どこで聞いたのかも覚えてないよ、ごめんなさい」
レナード・ブラックの態度があんまり凄みがあって、あたしは彼が十代だって
ことも忘れて震えあがってしまった。
レナード・ブラックは、いきなりあたしの上から退いて、ベッドから降りてし
まった。うそ、まさか…
「帰る。店のヤツには適当に言っておくから、お前は今回の仕事料もらっとけ」
「…」
ナニソレー
…
バタンッ
…こ、怖かった。まじ怖かった!
なにアレ!あんなに怒るようなこと、あたし言った??
…
本当は、噂してたお客さんの顔も名前も覚えてたけど、あんまり怖くて口に
出せなかった。だってルルのせいで、変なトラブルになったら嫌だもん。
…あの子、お父さんのこと、知らなかったのかな。
どうしよう、ルル、ここクビになっちゃうかも。
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