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ここはPCゲーム『ザ・シムズ2』の 物語風プレイ日記を公開しているサイトです
05 / 19 Sun 08:47 ×
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10 / 15 Sun 14:54 #御風 ×

部屋に戻ると、それまで我慢していた涙が、後から後から溢れ出して、もう
止まらなかった。

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「もう、やだよー…」
しゃくりあげた。

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お父さんたちは、いつも人に会えという。パーティで、外出先のおうちで、そして
今日のように見知らぬお客に会い、上手に彼らを喜ばせて、好意を勝ち得なさいと
言う。それがお前が幸せになる方法だからと、そう言うけど。
わたしは、本当はすごく苦しい。
上手く喋ることなんて出来ない、ましてちょっと会っただけの見知らぬ人に好かれる
なんて、到底考えられない。
でも、はっきりとお父さんたちにそう言えないのだ。だって、お父さんたちは、朗らか
に、堂々と、幸せそうに、自分の責任を果たしているから。
娘である私に、何故同じことができないのかと、失望させたくない。

魚になりたい。
魚は喋らないし、表情も必要ない。
わたしは、ずっと…魚になりたかった。

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黙りこくって、ピアノの前に座っているわたしのところへ、ジェニファーお姉ちゃんが
やって来た。今日は大学時代の同窓会があって、夕方まで家を空けていたのだ。
「ジェシカ、一体どうしたの、そんなに暗い顔して」
「…なんでもない」
「もう、こっち向きなさい」
お姉ちゃんは、私を立たせて、きちんと前を向かせた。

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「何もないよ、お姉ちゃんj」
「本当に?またダイアモンドなんとかが死んだんじゃない?」
「ダイアモンドフレームテトラは元気だよ…大丈夫」
「そうなの?…でも変よ、ジェシカ。最近とくに、元気がないみたい」
お姉ちゃんは、わたしの顔をしげしげと覗き込んだ。
「何かあったら、ちゃんと言うのよ。あんたは昔から、いろんなことを黙って我慢
して後で腹痛とか起こすんだから」
「うん…」

お姉ちゃんは、優しい。それに社交的で、いつもみんなの輪の中ではリーダーに
なるタイプだ。わたしはジェニファーお姉ちゃんを見ていると、いつも誇らしい気分
になる。

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その後、階下に降りていくと、エレーヌさんがお姉ちゃんの言葉に大笑いしていた。
やっぱり、お姉ちゃんはすごいと思う。
「そうなんですの、それでねジェニファーさん!私のフィアンセのケンったら、こう答え
ましたの“障害は多いほど燃えるもの、違いますかミスター・ニューマン”って」
「素敵ですわね、本当に!ぜひその場に私も居合わせたかったわ」


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「それじゃ、エレーヌさん、マルコム・ランドグラーブ氏にぜひよろしくお伝えください」
「あら、アンドリューさん、もちろんですわ。本当に楽しい訪問でした、兄もそのうち
こちらにお邪魔いたしますでしょう」
「それは願ってもありません、家内も大喜びですよ」
お父さんも、エレーヌさんと早速打ち解けている。
今度は、エレーヌさんのお兄さんもくるのか…。

同じ兄でも、大学にいるジェレミーとは、きっと大違いだと思う。
わたしはジェレミーが好きだ。早く卒業すればいいのに。
そのうち、エレーヌさんの両親や、ケンとかいう気障な婚約者まで、我が家に押
しかけてくるんじゃないだろうか。ああ、神様、どうにかならないでしょうか。

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夜、居間を通りがかった時に、愛し合うお父さんたちを見かけた。
お父さんとお母さんは、いつものように、情熱的なキスを交わしている。二人の
満ち足りた雰囲気は、いつ見ても、とても素敵だ。
まるで、私とは別世界に住む、恋人達のよう。

わたしは、そのまま足早に部屋へと向かった。



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