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ここはPCゲーム『ザ・シムズ2』の 物語風プレイ日記を公開しているサイトです
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10 / 23 Mon 00:58 #御風 ×

「部屋の中でしゃぼん玉してもいいのかなぁ」
「いいって、別に」

今日は学校帰りに、友達のマギー・ハートの家に遊びにきた。
マギーの本名はマーガレットだけど、友達はみんなマギーと呼ぶ。
マーガレットは「真珠」という意味があるんだって。マギーによれば、ブライト
リバーに住んでいる、お祖母ちゃんにつけてもらったそうだ。

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「いーなー、お祖母ちゃん」
「レイラのお祖母ちゃんは、どこに住んでるの?」
「知らない。フロータウンかも」
本当は名前も…まだ、生きているのかすらも、分からないんだけど。
あたしのレイラという名前は、多分、ママがつけたのだ。
マギーは、私にお父さんがいない事は知っているけど、それ以上の詳しい事情
は何も知らない。

「マギー、お母さんは?」
「駄目だめ、今日も仕事中。今朝もエージェントとの電話の後で、納期きつい
んじゃ、あほーとかって絶叫してたよ」
「そ、そうなんだ」

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マーガレットの母、オードリーさんは、フリーで働くイラストレーターだ。
お仕事は、そこそこ忙しいらしく、いつも二階の作業部屋にこもって、私が遊びに
来ても、あまり会う機会がない。


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キッチンのカウンターに、お菓子の皿がちょこんと置かれていた。
「母さんが用意しといてくれたみたい、食べよ!」
「イチゴクリームクッキーだ、やったあ」

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「今日もカミラ校長、怖かったねー」
「ねー」
カミラ校長とは、私たちの通う小学校の校長、カミラ・リーヴズのことだ。
彼女は、厳しいことで有名だ。ちょっとしたことを見咎めては、長々とお説教を
するので、子供達みんなに恐れられている。
「何でいつも、とげとげしてるんだろ」
オールドミスだからじゃないの、とマギーはお菓子をほおばりながら、さらっと
いった。
「自分は結婚できないから、若い子がにくいんだよ」
マギー、けっこうキツイなあ…。

「ただいまー」
柔らかな、男の人の声がした。

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マギーのお父さん、アダム・ハートさんだった。
優しそうだけど、こう見えても彼はブライトリバー警察の警部さんだ。アダムさん
だけでなく、マギーの親戚はほとんどが警察関係者だ。
マギーのお祖父さんは、退職した元巡査部長だし、叔父さんは確か刑事をして
いると聞いたことがある。

「おじさん、こんにちは」
「ああ、レイラちゃんか、今日は。いつもマギーと遊んでくれてありがとう」
にこっと微笑まれた。
いいなあ、こういうお父さん。
真面目で、優しくて、それに警察官だからきっと強いんだろうな。

でも、娘のマギーは容赦ない。
「パパ、向こう行っててよ」
「え、なんでさ?パパもおやつ食べたいよ」
「駄目だよ、パパ最近ちょっとお腹出てきたもん。お菓子は禁止です」
「そんな、ひどい」
アダムさんが、情けない声を出す。
「ダイエットしてよ。あと、ついでに無精ひげそって。でなきゃもう、絶対に
キスしてあげないから」
「ま、まさか、仕事から帰っても抱きついてくれないのは、そのせいか?」
ショックを受けたらしく、アダムさん、しょんぼりしてしまった。
何だか、警部さんなのに、可愛いなこのひと…。

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でも知ってるんだ、マギー本当はお父さんのこと、大好きなんだよね。
お父さんに対してつっぱるのも、ただ照れてるだけなんだ。
いいな、マギーは、お父さんがいて…。

お兄ちゃんの前では、お父さんのこと知らなくてもいい、なんて強がってみせた
けど、本当は私だってさみしいんだ。
世の中にはいっぱい、お父さんのいる子がいるのに、なんで自分はって思う。
だけどお母さんに、そんな事は言えない。
一番、さみしいのは、お母さんなんだもの。

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「レイラのうち、お母さん再婚しないのかな?」
「へ?」
考えていることを、見抜かれたみたいで、ちょっとドキリとした。
マギーは結構、するどいところがあるから…。
「恋人がいるようには見えないから、多分いまのところは、ないと思うよ」
「そっか」

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日が暮れてから、マギーのお母さんがようやく部屋から出てきた。
「もー疲れたあ」
そう言いながら、おやつのクリームクッキーをばくばく頬ばる。豪快な人だ。
指についたクリームをなめながら、くるっとアダムさんの方を向いた。
「なに、あなた食べないの?」
「いや、僕はいまダイエット中」
「うっそ、どういう風の吹き回しー?」
と、けらけら笑うオードリーさん。アダムさんは苦笑いしてる。
どうやら、この家では女の人のほうが強いみたいだ。

オードリーさんが、ふと思い出したように言った。
「そう言えば、例の放火魔、まだ捕まらないね」
「ああ…」
アダムさんが、沈んだ声を出した。
最近、ブライトリバーでは放火事件が相次いでいる。どの発火元もまだ、大きな
被害を出してはいないけど、住民達はみんな不安を感じているのだ。
アダムさん、犯人を追っているのかな…。

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やがて、8時過ぎになってから、お母さんが迎えにきた。
「いつも、ありがとうございます」
ハート夫妻に、お母さんは丁寧に頭を下げている。
以前は気づかなかったけど…今こうしてみると、なんかヘンな気がした。
丁寧って言うより…何だかよそよそしいんだ。
ハートさんたちとは、近所づきあいを始めて、もう何年にもなるのに。
…。
毎日、市長官邸でお偉いさんたちに頭を下げ続けて、それが癖になっちゃった
んだろうか。早く大人になって、お母さんがよその家で仕事しなくてもよいくらい、
稼ぎたい。
うちのお兄ちゃんでは、あんまり頼りにならないもんね。
私が頑張って、ブロッサム家を支えるんだ。


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