忍者ブログ
ここはPCゲーム『ザ・シムズ2』の 物語風プレイ日記を公開しているサイトです
05 / 19 Sun 11:55 ×
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

11 / 18 Sat 02:06 #御風 ×

正直、この世の中、むかつく事が多すぎる。
どいつもこいつも、間抜け面をブラさげて、毎日同じようなことを繰り返してる。
よくも飽きないなと、感心しちまうほどだ。
例えば、うちの店に来るような連中とか。

86f1f8ef.jpg

今夜も、店は低俗な男どもでにぎわっていた。
どいつも皆、一様に鼻の下をのばしては、浴びるように高価な酒を飲み、けっ
こうな金額を店に落としてくれる。まったく、体のいいカモたちだと思う。

ここは『クラブ・ベルヌイ』
あたしの母、カミーユ・ランゲラクが経営するナイトクラブだ。
たいして大きな店じゃないが、フロータウンに林立するクラブの中じゃあ古株
の方だから、今じゃそこそこ名の知られた存在らしい。
町の名士や、時には議員さんなんかも、しょっちゅう訪れている。

e30f2deajpeg

店内を眺めていると、つくづく思う。
結局、どんな男も求めるものはおんなじんなんだと…。
甘い笑顔と、耳触りの良い言葉、そして当然のことながら、「お色気」だ。

e0009f99jpeg

金で買う一時の楽しみと割り切って、上手に遊んでいく男もいれば、あわよ
くば本気でイイ仲になりたいと、ホステスにせっせと貢物を送る夢見がちな
野郎もいる。言うまでもなく、この業界じゃ夢を見た方が負けだ。

9cd467b2jpeg


「ニコル、この間、僕が贈ったネックレス、つけてくれないの?」
「だってぇ、もったいなくて、お店にはつけてこれなかったの…一生の宝物よ」

ちなみに、このニコルという女は、プレゼントをもらったら、その翌日にはさっさ
と質に流してしまう。お世辞より何より札束が好き、という典型的な財産願望
オンナだ。何でも、たちの悪い恋人がいて、そいつに金を吸い上げられている
とかいないとか。

4d03c481jpeg

「ノーマ、店に出てくるなよ。カミーユに見つかるとまずいぜ
「うるせーな、いいから、一杯くれよ」
バーテンのラルフを睨み付けると、いつもの通り酒を要求する。
「ったく、怒られるのは俺なんだからな」
そう言いながらも、ラルフは軽やかな手つきで、グラスに液体を注ぎいれる。

「おらよ、アル中」
「さんきゅ」
「それ飲んだら、部屋に戻れよ」
「ふん…」

ごくり。ひりつく液体が、喉をゆっくりと嚥下する。この、最初の一口が一番
いい。後は惰性みたいなもので、一気に空けた。こう言っちゃ何だが、あたし
はかなりの酒豪で、これくらいじゃ回りもしない。

「ノーマ!」
「げ」
「やべ」
あたしとラルフの呟きが、はもった。

8556fe15jpeg

「またお酒なんか飲んで…店に来るなって、何度言えば分かるの!」
周囲に気づかれないよう、声を低めているものの、母さんの声は凄まじい怒
気をはらんでいる。

 9f2b203cjpeg

ただでさえ、むしゃくしゃしていたところだ。
怒声につられて、カッと頭に血がのぼった。
 「ここはあたしんちだ!自分の家のどこで何しようが、勝手だろ」
母さんが、細い眉をきっと吊り上げた。
「馬鹿言うんじゃないわ、何度言わせるの、ここはあたしの店よ。勝手なことは娘
だろうがマリア様だろうが、許さないわ」
「…」
「部屋に戻りなさい」
断固とした口調で、命令する。

時々…
視線で人が殺せたらと、本気で思うことがある。
この女を殺してやりたい。
だがもちろん、あたしがどんなに憎しみをこめて睨もうと母が死ぬことはない。

「死ね、クソばばあッ」

一瞬、周囲の空気がざわわっと揺れた。からみつくような視線を振り切るよう
に走り出した。

965b2d63jpeg

そのまま、夢中で店を飛び出した。ぐらぐらと煮えたぎる頭のまま、バイクにまたが
り、キーをひねる。

938b9580jpeg

畜生、畜生と毒づきながら、エンジンをかける。
とにかく、どこか遠くへ。この店から、母さんから離れた、まったく別の
場所に逃げ去ってしまいたい。

「畜生ッ」

毒づくと、あたしは夜の街へと駆け出していった。




>>NEXT   >>MENU   >>BACK

PR
NAME
TITLE
MAIL
URL
VOICE
EMOJI / FONT COLOR
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS
 
"御風" WROTE ALL ARTICLES.
PRODUCED BY SHINOBI.JP @ SAMURAI FACTORY INC.