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ここはPCゲーム『ザ・シムズ2』の 物語風プレイ日記を公開しているサイトです
05 / 19 Sun 11:48 ×
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12 / 09 Sat 02:09 #御風 ×

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さらさらさら…
シャープペンが、ノートのページ上を走る音だけが、静かな室内に響く。
ああ、この空間、落ち着くな~。図書室って、本当に好き。
気持ちよく、作業に集中できる、あたしにとっては殆ど唯一の場所だ。
家は狭いし、何より双子ちゃんたちの『遊んで攻撃』が物凄いからねえ

お姉ちゃんだって、時には家族も何もかも忘れて、取り組みたいことがある
んだぞ、おちびちゃんたち。

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この学校の生徒は、みなあまり図書室を利用しない。国の法案で、『シム』国
籍を持つ全ての学生は、宿題を家に持ち帰るようにと定められているからだ。
まあ、単純に本を読む人間がいない、ということもある。

カチャ

「ポーター、まだ残ってたのか」
ラムゼイ校長だった。

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「いつも熱心だな、ポーター」
すみません、勉強してるわけじゃないんですよ、先生…。
「その調子で、進学に向けて努力していってくれよ、君には学校中が期待し
ているんだから」
「はあ」

学校中ねえ。
マリーやロザリーが、ママに何かねだる時に言う「クラスのみんなが持ってる」
の「みんな」みたいなものかな。
ラムゼイ校長は、とにかく『ボク進学率あげたいの!』という意思表示が明確だ。
良くも悪くも態度がはっきりしてる人なんだよね。
そう言えば、まだ独身。婚約者がいるって風の噂で聞いたけど、こういう男性と
お付き合いする女性って、一体どんな人なんだろう。

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「帰りには、鍵を職員室に戻していきなさい」
「分かりました」

…バタン。

さて、教師がやっと出て行ったところで、作業ふたたび開始だ。
実はあたし、しばらく前からブライトリバーの市史について調べてるんだ。特
に目的があるわけじゃないけど…しいて言えば、将来のための修行かな?
今はとにかく、市立図書館で街の歴史について書かれた本を探したり、町の
老人に話を聞いたりして、地道な情報収集に明け暮れている段階だ。

移民時代から、現在のブライトリバー市に至るまでの経緯は、さすがに幅が
広くて大まかにしかまとめることは出来なかったけれど、ここ数十年の動きに
ついては、そこそこ細かく調べられていると思う。

今、あたしが関心を持っている人物は二人。

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一人は、故パーシー・ライト。前ブライトリバー市長。
自由ミルヒー党の前党首で、アダマス・コーポレーション等、巨大企業の
誘致によって、フロータウンを急成長させた立役者だ。

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もう一人は、マルコム・ランドグラーブ
ラマ友民党の名誉議員で、現在はBRにおける保守派のリーダーだ。
一時、斜陽気味だったランドグラーブ家を、ここ十年ほどのあいだにもりもり
建て直した、すごい経済人でもある。少し前に、若い奥さんをもらったそうだ。

ブライトリバーは、とにかく、パーシー前とパーシー後に分けられる、と言われ
ている。そしてマルコムは、もちろんブライトリバーに大きな影響力を持つ、ラン
ドグラーブの末裔。

この二人の人物像に迫ることは、市史への具体的なアプローチになると思うん
だよね。あー残念、パーシーの存命中にインタビューしてみたかった!

ガチャ


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「ん?」

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なんだ、レナードじゃん。
「まだ帰ってなかったんだ、何してたの?」
「そっちこそ、テスト前でもないってのに勉強かよ、へーんーじーん」
小学生か、お前は。
「違うって、調べ物してたんだよ」
「調べ物?何だよ、見せてみろよ」
「まだ途中だからダメ」
「んだよ、けち」
けちで結構。記者は取材中のメモなんか、読者には見せないものです。

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レナードとあたしは、不思議と小学生の頃から仲が良い。
いや、仲が良いっていうか、妙に気安い間柄なのだった。教室ではそれほど
接点がないけれどたまに、こうして二人きりになると、ぽつりぽつりと他愛も
無いおしゃべりをする。
あたしにとって、ハニーたちとはまた一風異なる、しかしそれなりに大事にして
いる友人関係だった。

「まだ帰らないのか」
「家に帰ったら、妹たちにしがみつかれて、何もできないからねー」
「ああ…そっか。あいつら、もうそんな大きいのか」
レナードが、何だか懐かしそうな顔をした。

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そう言えば、レナードが前にうちに来たのって、いつだったかな。小学校の時
は時々、学校帰りに寄っていたのに、いつの間にかそんな習慣もすっかり無く
なってしまった。

「うちね、もうすぐまた生まれるんだよ、赤ちゃん」
「また?」
ええ、またですよ。
「レナードのとこも、弟さんもうすぐ大きくなるんじゃないの」
「ああ」
あたしが弟と言った瞬間、レナードの顔がふと暗くなった。分かるか分からない
か程度のわずかな変化だったけれど、あたしは見逃さなかった。

考えてみれば、図書室にレナードが来ること自体、珍しいことだった。
どうしたんだろ…何かあったのかな?


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