忍者ブログ
ここはPCゲーム『ザ・シムズ2』の 物語風プレイ日記を公開しているサイトです
05 / 19 Sun 09:11 ×
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

12 / 10 Sun 00:15 #御風 ×

89b232d7.jpg

「何かあった?」
「ん?」
レナードは、ぱっと視線を上げた。もう、いつもの顔に戻ってる。
「別に。何だよ、俺ヘンな顔でもしてた?」
「うん、してた」
「悪りーな、生まれつきだ」
…ばか。

snapshot_d173fad3_32850bbd.jpg
どうも、これ以上は、あまり突っ込まれたくないみたいだ。本人に話す気がない
なら、あたしも黙るより他ない。
レナードは場の空気を和らげるように、ふああとあくびをしながら、大きな伸びを
した。
「ねみー」
そう言って、だらしなくイスの背にもたれかかる。
「また夜遊びしたの?夜はちゃんと寝なって言ったじゃん」
「うるせーな」
こいつは、まったく…そんなだから、校長に眼をつけられるって言うのに。

snapshot_d173fad3_1284fe01.jpg

レナードは、公然と不良という程でもないけれど、ラムゼイ校長にはかなり
睨まれている一人だ。
成績はさほど悪くないのに、授業をさぼったり、平気で遅刻したり…そのくせ
ちっとも悪びれた態度を見せないもんだから、校長はいつもレナードに対する
ときは、額に青筋をたてて怒っている。

snapshot_d173fad3_3263b5ac.jpg
レナードの遊び仲間である、ノーマ・ランゲラクも、校長とは犬猿の仲だ。
ラムゼイ校長が気に食わないのは理解できるけど、生徒側の態度もずい
ぶん反抗的だと思う。結局、なめられてるんだよね、教師って立場が。
あれじゃ、いつまでたっても事態はよくならないだろうな。

あたしが、そんなことを考えて少しぽけっとしていたら、レナードがいきなり
妙なことを言い出した。

「リナ。お前、占いって信じる方か?」
「は?」

snapshot_d173fad3_d2850c21.jpg

「占いって…星占いとか?」
「ああ、それとか、水晶玉を覗き込んで、未来がどうとか言うようなやつ」
水晶玉。
そう聞いて、ちょっと思い出した。
「そう言えば、街に時々ジプシーの占い師が出るっていう噂、前に聞いたよ」
何でも、彼女たちは全員が老婆で、おそろいの衣装をつけ、大仰な水晶玉を
抱えているらしい。
レナードは、眉をしかめている。
「そのジプシーってのは、どうなんだ?それなりに占いは当たるのかな」
「知らないよ、占ってもらったことないもん」
「…」
「恋占い専門なんだってさ」
次の返事がくるまで、ちょっと間があった。

「…ああ、なるほど」

なに、そのやけに納得した顔。

snapshot_d173fad3_12850cda.jpg

「あのさーレナード」
あたしは、少し考えてから、言った。
「なんか悩みがあるなら、今ここでさくっと言っちゃいな?」
「は?な、何だよ、いきなり」

他人に話してみるだけでも、何かが変わることってあるもんだよ。

あたしが言うと、レナードは、何やら神妙な表情になって、あたしの顔を
見つめ返してきた。

snapshot_d173fad3_d2850c73.jpg

「…」
「…」
なんだか、その瞬間だけ、時間がゆっくりと流れていくような気がした。

snapshot_d173fad3_72850d8a.jpg

ガタッ

「俺、やっぱ帰るわ」
レナードは、そう言って立ち上がった。
「レナード」
「別に悩みなんかねーよ。勝手に気まわすな、バカリナ」
バカと言われて、ぐっとあたしはつまった。

snapshot_d173fad3_52850da1.jpg





「…じゃあな」
「うん」

がちゃ。

…ばたん。


snapshot_d173fad3_32850be4.jpg
「…」

ちょっと、まずったかな。
突っ込まずにおこうって思った矢先に、レナードが変なことを言い出すから、我
慢できずに問いかけちゃった。
それにしても、何だか気になるなあ。
そりゃ、確かにあたしはただの友達だけど…友達に軽くでも打ち明けられない
ような悩みって、一体どんなもの?
力になれるものなら、なりたいんだけどな。


>>NEXT   >>MENU   >>BACK

PR
NAME
TITLE
MAIL
URL
VOICE
EMOJI / FONT COLOR
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS
TRACKBACK URL :
 
"御風" WROTE ALL ARTICLES.
PRODUCED BY SHINOBI.JP @ SAMURAI FACTORY INC.